読書感想、「だまってすわれば」観相師・水野南北一代

本/映像/芸術
Goldenargo.com

皆様、観相師ってご存知ですか。

そうです、「相」を見る人です。ただこれ、人相に限らず、立ち振る舞いから声様々なものからその人の成り立ちと(今)と今後を「観る」人です。

栄養学をネットで調べてた際、人を作るのは食べ物と言うくだりで、この本が紹介されてました。

今回はこちらについて綴ってみたいと思います。

ネタバレにならないていどのあらすじ。

江戸時代の大阪(大坂)が舞台です。そのうち全国行脚するので、いろいろな土地をめぐります。

大坂なんで、昔の大阪弁がわんさかでてきます。

ワタクシ的には山崎豊子の船場系の話や谷崎の細雪など非常に好きな世界です。

で、 今でいう自頭の良い腕っぷしの強い極道 がこちらの主人公。後の水野南北です。

日々それなりに極道の世界ではうまく立ち回ってましたが、とある日、乞食坊主に死相が出てると言われ間髪難を逃れ食を変え生活を変え改心し、全国行脚職を変えながら観相修行する話で、むっちゃおもろいです。

以前読んだ堂島の米相場師の小説を彷彿させるように昔の情緒ある大阪の商都も表現されて、とても面白いです。

ちょっとそれますが、米相場の小説はずばりタイトル「堂島物語」。

大坂の丁稚上がりの相場師(今でいう私設ファンドみたいなやつもやります)と、元祖テクニカル、ローソクチャートの生みの親である本間宗久を中心に話が展開してこちらもとてもおもろいです。

ワタクシ、こういう成長物語好きですねん、「そうきゅう」つながりでは舞台も時代もちがいますが「蒼穹の昴」とかも。

この手の話、全般的に人間にたいして愚かさもありますが、創友の全部ひっくるめて温かみ優しさを感じることが多く、このような小説はあると読んでしまします。

「堂島物語」、アーリーリタイヤされてる方は株の運用で生活費をまかなっていらっしゃる方も多いと思いますが、こっちは株ならぬ米相場ではありますが、まぁ完全にばくちの世界ですが、まぁその分面白いですわ。

横道それましたが、ぜひ読んでみてください。

私も観相師に弟子入りしたい!

この水野南北、ゴロツキの極道がひょんなことから観相師になるんですが、まず自分の死相をあばいた乞食坊主に入門したいものの、見つからず方々の寺を回って出家入信したいと申し出ますが、いでたちがなんせ極道、坊主は顔となりをみるなり逃げ出してだれも相手にしてくれません。

ですが、最後見捨てぬ仏がおりまして、良いけどわしのいうことできたらおいでというので、まず「食」を改めさせます。

今まで金回りの良かった極道ですので、まぁ暴飲暴食してますがな。

ですが、この死んでは元も子もないというので、3か月必死に粗食で精進します。

はっはーん。

これ、よーわかります。一種の細胞を入れ替えて人間を作り替えるってことですねと。

人間はもちろん父母から授かったオリジナルの体はありますが、細胞は日々生まれ変わっております。

女性の生理なんかはわかりやすい例ですが、皮膚も脂肪も筋肉も骨も、期間の長短はあれど、生まれたままで死ぬことはありません。

ということは、この体の細胞を壊して再生成している仕組みを変えることで、その人の成り立ちを変え、さらにはその人の考え方、行動が変わることで運命が変わっていくと。

とても深い話です。

まぁ20歳過ぎたら顔は履歴書とよく言ったものです。生まれた時の顔は親からもらったものなんで綺麗でもブサイクでもどうしようもありません。

ただ、きらきら若さだけじゃないシーズンを過ぎてからが、勝負。

その人の生き様が顔にでますねぇ。

まぁこちらの小説でいうと、顔(人相)だけではないって話で立ち振る舞いから、声、話し方まで。

ワタクシもそこそこ人生を生きてきて、ほんとこれ実感しますねん。

実はワタクシ、子供の頃からどんな占いみても将来の適職って欄が「相場師・株トレーダー、占い師、宗教家」など全くもって当時興味のなかったことだらけでがっかりした覚えがありますが、今はめっぽう中らずと雖も遠からずやなと思います。

適性があるかは置いておき、とても興味があります。

「占い師」というととても胡散臭いですが、このような観相もそうですし、洗練された言い方ですと「プロファイリング」というのでFBI操作やシャーロックホームズまでよく使われる手法ですね。

占い師にはもう一つ側面があって「カウンセリング」であったり「迷える子羊の背中を押す役」ってのもあると思うので、こういう点でもとても興味があります。

どうやったらなれるのかなぁ?と思ってましたので、こちらの小説みると膝を打つことばかりです。

南北さん、まずは人の顔みんことにはというので、全国行脚します。

ですがもとは極道、怖い面構えの兄ちゃんにジロジロみられたらみんな逃げだします。

なので、ここが賢いところで、給料はいらんから仕事させてんか~と髪結いやら銭湯の三役とかはたまたお墓の焼き場の仕事まで、いろんな人間の「すがた」を拝みながら本人からの過去現在を話を聞きながら、自分なりの事例と突合しつつ経験を重ねます。

まぁ今でいうビックデータですねぇ。それよりもスゴイ。ビックデータってゴミデーターですが、南北さんのはれっきとした精査された「使えるDB」ですからねぇ。日々リアルで修正かかりますし。

いつの時代もこのセンスある人がやる人間DBに勝るものは無いよなぁと思いながら楽しく読ませてもらいました。

もう一点ちゃうなぁと感心毎は、自分の本当にやりたい事の為にお金を使う、そのために稼げるということ。

今でいう副業ですかねぇ。

髪結い弟子入りして、それもお給金要りませんって弟子入りですから、生活費をどうにかしなければなりませんが、そこはちゃーんと自分の生活費ぐらいどうにかなる生業(怪しげだけど良く売れる薬売りの副業)からのアガリでどうにでもなるんです。

めざすはやっぱりこれですね。

細かい事はお楽しみを奪ってしまいますので、書きませんが、ぜひおススメの一冊です。